わたしの調査地ロシアのコリヤーク自治管区(もうすくカムチャッカ州と合併)について書きます。
出発前
- ビザ申請:アクセスに時間がかかるので(片道1週間以上とか)観光ビザの30日では十分調査ができない可能性が高い。なるべく業務ビザをとること。2006年冬までは旅行会社発行の招聘状でビザが取得できたが,2007年春に法律が変わり,現地の受入先からの招聘状原本が必要になったらしい。コリヤーク自治管区からの場合,招聘状の発行に2ヶ月くらいかかることもある。現地から日本までの郵送にかかる日数を考えると3ヶ月前から準備したほうがいい。
- 滞在許可証:旅行会社にパスポートとビザのコピーを送っておき(スキャンしてメール添付でもいい),ロシア連邦保安庁(FSB)および国境警備隊からの滞在許可証の取得を依頼しておく。
- ホテルの予約はしなくてもビザの発行はしてくれるが,とびこみでは入れないことが多いので予約はしていったほうがいい。
- 旅行会社に現地に行くための飛行機の予約を依頼しておくとよい。
- 招聘状・ビザ・パスポートのコピーを3枚くらいずつ用意しておく。(出国するときに招聘状のコピーを見せろと言われたことがあるので,多めに用意しておくとよい)
出発後、現地入り前
- 旅行会社で書類と航空券をもらう。(許可証のコピーを3枚くらいずつもらっておくと便利)
- ステイ先に電話して飛行機の日程を伝え,出迎えを頼む。(空港と村を結ぶ公共の交通機関がないため)
現地で
- 居留登録:3日以上滞在する市町村では必ず登録が必要。ホテルでやってくれない場合およびホテルがない村でホームステイする場合は,所轄機関に出向いて登録する。大きな村では」登録所 (Ovir)」で、登録所がない村では警察の中の「パスポート係」で登録。コピー機がないところもあるので,上記で用意した書類のコピーを提出すると手続が早い。ホームステイの場合,登録にあたってはステイ先からの申請書が必要なので,現地に着いてからステイ先の人につきそってもらって警察に行くとよい (ただし村によってはホームステイであっても申請書がいらないこともある)。Palana ではさらに,家主名義の不動産の権利書も要求された。また日本円で数十円の登録料を払わなければいけないこともある。その場合は,手数料振込用の銀行(SberBank)に行って支払いをすませ,領収書を登録所に提出する。
- 村によっては国境警備隊の詰所に出頭しなければならない。旅程表も含め,持っている書類のすべてをコピーして渡す。ステイ先の住所・電話番号・家主の氏名、旅行の目的などを詳しく聞かれる。
持って行った方がいいもの
- 虫さされの薬 (なぜか虫さされの痒み止めの薬は売っていない。しかし蚊よけの薬は現地のもののほうが種類が多いし,よく効く気がする)
- キャンプをする予定なら夏でもダウンジャケットやセーターは必須。
- キャンプをする予定がなくても長靴があると日帰りのイチゴ摘みや釣りに行けるので便利。調査地では売っていないこともある。
- 冬用の防寒着と防寒靴は調査地到着前に大きな町で買うとよい。日本より高機能で種類も豊富。
…と,こんなところでしょうか。 なんだか書いてて嫌になってきましたが,調査の許可証や報告書が必要ないのが救いです。
ほかにもトナカイの角を持ち帰るときの手続とか,入院したときの手続とか,猫を連れて帰るときの手続とか,蓄積しとく必要があるのか疑問に思う情報がたくさんあります。
永山ゆかり (北海道大学スラブ研究センター)
Categories: フィールドの歩き方
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