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Monday, July 09, 2007

昔は敵が襲ってきたりして,よく戦いがあったそうだ。 敵(=チュクチ)とか,トナカイ・コリヤークとかヌイムラン(=アリュートル人の自称)が互いに殺し合いをしていたそうだ。

あるとき1人の男がツンドラを歩いていた。

やがて男は敵の一団が自分のほうに向かってくるのに気づいた。日が暮れて,あたりは暗かった。

男は急いで物陰に隠れ,火をおこした。焚き火はすぐに勢いよく燃えだした。そして男はトナカイの肩肉を串に刺して焼いた。こんなふうに火のそばに串を刺して焼いた。

それから棒をとりだすと帽子をかぶせ,薄くなめしたトナカイの皮を着せて肉の側に立てたので,人間がトナカイの肉を食べているように見えた。それから自分は物陰に隠れてこっそり様子をうかがっていた。

やがて敵が1人近づいてきた。敵は弓をつがえると,矢を立て続けに何本も射かけてきた。

やがて敵はそこに誰もいないことに気づいた。

「これは人間ではなかった。われわれは棒を射ていたのだ」

近寄ってよく見ると,トナカイの肩肉がたくさんある。

「おおい,こっちへ来てくれ!肉を食べようじゃないか」

声をききつけて残りの一団がやってきた。みんな腹をすかせていた。

物陰に隠れていた男は薄くなめしたトナカイの皮を持ちあげた。弓を持っているような音がした。本当は弓なんか持ってはいなかったけれど。

様子をうかがってみると,そこらじゅうで敵が焚き火をおこしている。やがて敵はどっかりと腰をおろして肉を食べはじめた。

そこで男は大声で叫んだ。

「さあ,あいつらをやっつけちまおうぜ!」

そしてトナカイの皮をがさがさいわせて音をたてた。薄くなめしたトナカイの皮はセロハンみたいにがさがさ音がするんだよ。

男は続けた。

「さあ,みんな早く来てくれ。やつらを皆殺しにしてやろう!」

敵は大慌てで逃げだした。敵が逃げたあとに行ってみると,そこらじゅうに弓が落ちている。みんなあわてたので弓を投げすてて逃げてしまったのだ。

男はこうしてたくさんの弓を手に入れた。

(2002年10月1日 サウェーリー・ゴリコフ氏より採録 永山ゆかり)

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