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Thursday, May 10, 2007

本になって広く読まれている民話って、だいたい自分の知っている常識の枠を出ないところで物語が進行し、結末をむかえるものですが、わたしが調査地で集めた民話のなかには「なんでこうなるの?」と思うものもたくさんあります。

今回の話は「とってもかわいそうな話なんだよ」といわれて採録したものですが、どうしてこんなことになるのか不思議です。そしてこの流行病がなんだったのかも気になります。

◇◇◇ 流行病 ◇◇◇

昔あるところに、おばあさんが2人住んでいた。2人のおばあさんには子供がたくさんいた。子供のうち何人かはもう所帯を持っていて、おばあさんはたくさんの孫に囲まれて暮らしていた。

あるとき、恐しい流行病で子供も孫もみんな次々に死んでしまい、2人のおばあさんだけが生き残った。おばあさんのうち片方は、2人だけになってしまったことをたいそう気に病んで、これからどうしようかと考えた。そしてあることを考えつくと、もうひとりのおばあさんにいった。

「わたしたち年寄だけがこうして生きながらえてもしかたがない。子供たちもみんな死んでしまったんだし、わたしたちも死ぬことにしようよ」

「そうだね。いつまでもこうしていてもしかたがないよ」

「じゃあ、わたしはあんたにおむつを縫ってあげるよ」

おばあさんは、もうひとりのおばあさんにおむつを縫ってやった。小さな子供が着るような、からだがすっぽり入る毛皮のつなぎも縫ってやった。縫い終わるとおばあさんはもう1人のおばあさんを呼んだ。

「ちょっとこっちへ来なさいよ」

おばあさんが来ると、つなぎを着せてやって、股のところにおむつもあててやった。

「いいかい、わたしがあんたを抱っこするからね」

おばあさんは、子供用のつなぎを着て、おむつをあてているおばあさんを腕に抱くと、子供をあやすのと同じように歌いはじめた。

「クウップササナン、クウップササナン、ウッパ、ウッパ」

2人のおばあさんは、おかしくておかしくて、声をあげて笑った。息もつけないほど笑って笑って笑いころげた。そうして2人とも笑いながら死んでしまった。

(200?年?月?日 タチヤナ・ゴリコワ氏より採録 永山ゆかり)

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